座っていると健康を損なう―こまめに休憩を取ったほうがいいはっきりとした理由

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イスはあなたの敵だ。

たとえ君が毎朝ランニングをしていても、ジムの常連でも、そんなことは関係ない。
もし一日の残りの時間のほとんどの時間を車内やオフィスのイスや自宅のソファの上で過ごしているとしたら、君は君自身を肥満や糖尿病や心臓病や様々なガン、そして短い寿命のリスクにさらしていることになるんだ。
ま、別の言葉で言うなら、いくら必死に運動していたとしても長時間座る姿勢でいることは君の健康にとって良くないことなんだ。

少なくともそれがここんとこの研究の結果さ。
定期的に運動をしている健康な人々がいたとして、その中で座って過ごす時間が少ない人達に比べて長時間座っている人たちの方がウエストが太くて血圧や血糖値の数値も実際良くないんだ。
毎日テレビの前に3時間座っている人たちの中では運動しているいないにかかわらず、体の状態は変わらないんだ。
つまり、せっかくがんばってジョギングしても長時間座っていることで、その効果も相殺されてしまうみたいだね。



はて、じゃあ座ることの何がいけないんだ?



その答えは2つの部分に分かれている。
一つは座るってのはとっても受動的な行為だってこと。
大人しくイスに座ってるぐらいなら、ガムをかんだり、貧乏揺すりをしたほうがより多くのエネルギーを消費することになる。
座ることに比べたら一箇所にじっと立っていることは大変なことなんだ。
立っているためには足の筋肉に力を入れないといけないし、背中や肩の筋肉も動員しないといけない。
それに立っていると片足からもう片方の足へ重心を移したりするしね。
こういう行為がいちいちエネルギーを使ってくれるんだ。

だいたいの場合において、太るというのはゆっくりとした変化なんだ。
今年は1キロ、次の年は1.5キロって具合にね。
そしてこういうゆっくりとした体重の増加は毎日必要なカロリーより30kcal多く摂るだけで起こってしまうんだ。
30kcalなんて、ほんとにちっぽけなもんなんだよ。
バナナ2口分か、ポテチ2枚分といったところだね。
こんなふうに、今日一日、そして明日一日って感じでもう少しだけ自分の足を使ってやるとそれがやせた状態を保てるか、おデブちゃんになってしまうかの大きな分かれ目だったりするんだ。



あるいは君はこう言うかもしれない。

「でも座ってる時間なんて自分じゃどうしようもないだろう┐(´д`)┌」

いや、ちょっと待って欲しい。
仮に君は一日8時間寝るとしよう。そして1時間運動する。
するとまだ15時間も運動に使える時間が残るじゃないか。
たとえ君が定期的に運動していたとしても、一日に消費するほとんどのカロリーはこの15時間に集中していることになるんだ。
つまり体重が増えるってのは、ほんの小さな決断や選択の積み重ねだってことがほとんどなんだ。
階段を使うか、それともエレベーターに乗るか。
一階下の同僚にEメールを送るか、それとも直接そいつに会いに行って話すか。
帰宅してから近所を散歩するか、それともテレビの前でじっと座っているか。
近くのコンビニまで歩いていくか、それとも車で行くか。



一ついい例を紹介しよう。
若手の医師を対象に行われた研究がある。
彼らの仕事内容は同じで、同じ週を対象にして調査を行った。
彼らが住んでる寮の場所の違いによって、毎日職場までの歩く距離が4倍も開きがあったんだ。
彼らの中に肥満の者はいなかったが、毎日職場までたくさん歩く医師達のほうが他の医師に比べてスリムだということがわかった。

つまり、長時間すわっていることの問題の一つは、座っている時間が短い人たちに比べて消費するエネルギーが少ないということ。
これによって太りやすくなるし、肥満になるといろんな健康上の問題が持ち上がってくることになる。



だが、座ることにはこれよりももっと悪い効果があるようなんだ…。
これまたいくつかの研究によって、長時間座ることによって実際に君の体が君の体にいろんな悪いことをやらかすということがわかっている。

一つ例を挙げよう。
体内にはリパーゼという食べ物の中の脂肪を分解する酵素がある。
リパーゼは筋肉をはじめとした様々な組織で作られている。
体の中のリパーゼの量が減ると、心臓病などの健康障害を引き起こすことがわかっている。
動物実験によると、足の筋肉は運動によって伸縮した時のみ(直立したり、歩きまわったり)、このリパーゼを生成するという結果が得られた。
つまり、僕らが座っている時は、体の代謝に必要な仕組みをストップさせているってことなんだ。

筋肉が活動しないことによって影響を受ける物質はリパーゼだけじゃない。
普段からよく歩く男性たち(大体1万歩以上)に階段の代わりにエレベーターを使ったり、職場まで歩いて行く代わりに車で行ってもらったりして歩く量を減らしてもらう(一日当たり1350歩ほどマイナス)実験を行った。
2週間経ってみると、彼ら全員の体の糖分や脂肪の代謝機能が低下したんだ。
体脂肪率までも変化した。
つまり、太ったんだ。
これはまさに糖尿病へと続く道の一歩だ。

逆に、多くの時間を座って過ごす人たちを対象にした研究では、こまめに立ち上がったり、ストレッチをしたり、廊下を歩いたりして休憩を取っている人たちでは、じーっとイスに座って自分の世界にこもっている人たちよりウエストは細くて糖分や脂肪の代謝も良いという結果が得られた。



世の中には、すでにこの"座位症候群"の恐怖を知って明確な行動を起こしている人たちもいる。
机を高いものに替えて立って仕事をする時間を作ったり、歩きまわりながら仕事の考え事をしたりね。
テレビを見るときは自転車をこぐような機械に乗って見るようにしよう。
それか揺りかごみたいなイスで体を前後に揺するようにして見るとかね。
バカバカしいかもしれないけどそんなことでも筋肉を動かすことになるから効果はあるんだよ。
リビングにバランスボールを買ってきてそれに乗るようにすればいい。
体のバランスを保つために足だけでなく、背中の筋肉も動員することができる。
気分が乗ってきたらポンポン部屋中を跳ね回ってもいいね!

貧乏揺すりがクセになってる人はこの記事に書いてあることを周りに伝えてその正当性を訴えることができるよ。

ま、君がどんな選択をするとしても、これだけは知っておいてくれ。
データは実にはっきりとしている。
君のイスに気をつけろ!!


(※元ネタ http://opinionator.blogs.nytimes.com/2010/02/23/stand-up-while-you-read-this/?em