関西人の標準語への挑戦
僕はバイリンガルです。
といっても日本語と英語のバイリンガルという意味ではありません。バイリンガルというほど英語に自信はありません。
そうではなく、関東弁と関西弁のバイリンガルという意味です。もっとも、関東弁というべきか、標準語というべきかはわかりませんが。
僕は関西生まれの関西育ちなので、はじめは関西弁しかしゃべることができませんでした。
標準語を話すきっかけになったのが大学3年生の時に行ったイギリス留学です。
1年間イギリスで暮らし、基本的に英語で話すようにしていました。
日本人もいたのですが、彼らは沖縄出身でしたし、なるべく日本語は使わないというルールを共有していたので、まず日本語を使う頻度が少なかった。
ましてや関西弁を話す機会なんか、たまにする家族や地元の知人との電話ぐらい。
僕は「これはいい機会だから標準語を覚えようか」と思いつきました。
関西の人ならわかると思いますが、関西に住みながら標準語を練習するのはとても難しい。
関西弁に囲まれているし、大半の関西人は標準語を毛嫌いしています。
なので普段の生活で急に標準語を話そうものなら正気かどうかを疑われてしまいます。
関西弁を話す人がいない外国だからこそできたことだと思います。
さて、そのトレーニングなのですが、何をしたのかというと、『シャドウイング』です。
これは英語の勉強法なのですが、英語を聞いて、それを追いかけるように自分が聞いたままを声に出していうというトレーニングです。
これを日本語に応用して、標準語をシャドウイングしました。
で、使用した教材があるドラマとあるアニメ。
それらを見ながらシャドウイングを行いました。
そして数少ない沖縄の日本人達と話す時に、覚えた標準語を試してみたのです。
最初はよく笑われました(なんだか変だよ。どうしたの?)。
今思うと、僕の標準語はだいぶ荒削りだったように思います。
でも、そんな周りの評判をもろともせず、僕は僕が思う標準語を使い続けました。
そして日本へ帰国した後も、初めの頃はエセ標準語が抜けませんでした。
僕の中では標準語が板についてきていたのです。
今思うとひどい出来の標準語をしばらく使い続け、周りにかなり気持ち悪がられました。
でも、僕の言い分としては、おかしいことなんだけれど、しばらく関西弁を使っていないと関西弁を使うのがなんだか照れくさくなってしまうものなのです。
「なにが『なんでやねん』だよ!おれ!」みたいな感じで。
まあでも1ヶ月もすると、もとの関西弁に戻ったのでした。
今から考えると、この頃使っていた標準語なんておままごとみたいなものです。「無理して使っているな」とわかるレベルの。
それから1年後、僕は再び標準語のトレーニングをすることになります。
でも、それはまたの機会に。