退去のワンシーン

急に引っ越すというのは、ごく控えめに言って、結構大変です。

例えば台所でいうと、調味料たち。

まだ封を開けて間もないみりん、お酢、焼肉のタレ、醤油、ポン酢。

すべて新生活に向けて用意したもの。

まあ次の場所へ持って行って使えばいいだけなんだけど。

特殊な状況下での急な引越しはそういう正常な判断を時に狂わします。

片っ端から排水口へ。

じょばじょばじょばじょばじょばじょばじょばじょばじょばじょば。

とくとくとくとくとくとくとくとくとくとくとくとくとくとくとく。



不思議なもんだなあ。

調味料ってふつうは少しずつ使うものなのに。

こんな短時間でビンが空になるなんておかしい。

排水口から、すっぱい匂いやら香ばしい匂いやら柑橘系の匂いがあがってきて、部屋いっぱいに充満していく。



ピーンポーン。

困ったなあ、引越し業者さんが見積りに来た。