一時期の赤ワインブームは何だったのか


活性酸素という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
なんとなく悪いものだというイメージを持たれている方が多いと思います。
では、具体的にどういうものでどんな悪影響があるのか、またそれを防ぐ手立てはあるのか、というところで記事を書いてみようと思います。

活性酸素とは

活性酸素とは、もともとはふつうの酸素です。
そう、私たちが日常的に吸っているあの酸素です。
活性酸素はその酸素が何らかの要因によって活性化させられたものです。

ふつうのいい人だったのに、急に刃物を持って暴れだしたような状態です。
恐いですね。
もう少しつっこんで説明すると、電子的に安定していた酸素が何らかの原因によって不対電子を持つことになり、不安定になった状態です。

活性酸素は何をするか

酸素はなんとか安定しようとして、あたりかまわずまわりの分子から電子を奪い取ります。
それによって電子を奪われた正常な細胞が壊れてしまうのです。

これによってシミやシワの他、ガン、動脈硬化、糖尿病、認知症白内障などなど、様々な病気の原因になると言われています。
まあ正常な細胞を壊してしまうので、そりゃああらゆる障害が引き起こされるだろってなもんですね。

原因

原因は様々です。
紫外線、タバコ、激しいスポーツ、携帯電話やパソコンの画面から出ていると言われる電磁波、医薬品、ストレス、排気ガス、加工食品 etc...

ええ、そうです。これらのリスクを避けて生活することなんて不可能です。
紫外線を避けたりタバコをやめることはできますが、ストレスを感じずに暮らすことなんて不可能ですよね。
でももちろんストレスをコントロールできるようになることは意味があると思います。
ポジティブで前向きな人が若々しいのは活性酸素が少ないからということも影響しているかもしれませんね。

どうすれば活性酸素を減らせるか

一つの方法は栄養、つまり食事です。
栄養素の中には、抗酸化作用をもっているものがあります。
抗酸化作用とは、活性酸素を除去する働きのことです。
自ら進んで自分の電子を渡すことで、正常な細胞を守ってくれるのです。
なんとも自己犠牲心に溢れたナイスなやつですね!

では、どういった栄養素が抗酸化作用をもっているのかというと、

などです。

ビタミンC、ビタミンE

これらは二つセットで働きます。
というのも、抗酸化作用を発揮して酸化型となったビタミンEをビタミンCが再生してくれるのです。
再生されたビタミンEは再び抗酸化作用を取り戻すことができます。
よって、効果的に抗酸化作用を発揮するためには、ビタミンEとビタミンCを同時に摂取する必要があります。

ちなみに、ビタミンCは野菜や果物に豊富に含まれています。
熱に弱く、水に溶け出してしまうため、生で摂るのが効果的です。
ジュースやサラダなどが良い摂取方法といえます。
ビタミンEは油に溶ける性質があるので、油に含まれています。
古い油よりも新しい油を使うことが重要です。
他にはアーモンドや卵、うなぎにも多く含まれています。

ポリフェノール

ポリフェノールは物質名の総称で、その中には、アントシアニンカテキン、ルチン、イソフラボンなどがあります。
これらの抗酸化作用はビタミンより強力なので、その効果が非常に注目され、テレビや雑誌などでも大きく取り上げられています。
耳にされた方も多いことでしょう。
一時期赤ワインが異常に流行りましたよね?
あれです。

ポリフェノールの多くは吸収されやすいので、食べると30分ほどで作用が現れます。
しかし、2〜3時間でその効果は消えてしまいます。
したがって、続けて摂らなければ十分な効果は期待できません。
よって毎日、できれば毎食摂ることが望ましいです。

ポリフェノールは色素なので、それぞれ色を持っています。
たとえば、アントシアニンは青紫の色素で、赤ワインやブルーベリー、ブドウ、スイカ、赤キャベツ、紫イモなどに含まれています。
カテキンはお茶ですね。
チョコレートやココアにはカカオマスポリフェノールが、そばにはルチンが含まれています。
また大豆にはイソフラボンが含まれており、これは女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ているということで、更年期障害骨粗鬆症の症状を緩和できます。

赤ワインは本当に体にいいのか?

赤ワインが体にいいことを裏付ける有名な話があります。
それがフレンチパラドックスです。
フランス人は肉や乳製品などの動物性脂肪をたくさん摂っています。
1人当たりの年間肉消費量はヨーロッパでナンバーワンで、乳脂肪消費量も平均を上回っています。
これだけ脂肪の摂取も多いと当然心筋梗塞動脈硬化などの心臓病が多いだろうと思うのですが、予想に反してそれらの患者が少ないのです。

そして動物実験の結果、これは赤ワインのポリフェノールのおかげであることがわかりました。
ちなみに、この結果が紹介されてから日本でのワインの売上が激増したことから、フレンチパラドックスを紹介した日本人の先生はフランスの大使館から表彰されたということです。

ただ、赤ワインも飲み過ぎるとアルコールの悪影響が出てくることは言うまでもありません。
特に日本人は欧米人に比べてアルコールの分解能力が低いので、注意が必要です。

なんでもやりすぎてはいけません。
食品は薬ではないので、それだけを摂り続けていれば大丈夫なんてことはありません。
おいしい話には気をつけてください。
あくまでも普段の食生活にうまく取り入れるというスタンスを心がけるようにしましょう。